政府債務の維持可能性(0-2)

前回は,日本の政府債務の現状を見て,かなりの負債があることを見ました.
また,この状況の下,現在の財政スタンスを保ったままで,政府債務がきちんと償還(返済)できるかを分析するのが「財政の維持可能性」である,ということを確認しました.

さて,前回は日本経済の状況しか見ませんでしたが,今日は外国の政府債務の状況も見てみたいと思います.

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政府債務の維持可能性(0-1)

さて,政府債務の話といっても色々とあるわけですが,
ここでは「政府債務の維持可能性」についてのお話をまとめてみたいと思います.
今回は,このお話の背景的な話をしてみたいと思います.

政府債務とは,名前の通り「政府の債務(=借金)」のことです.
日本政府が借金をすれば,日本国債といいます.
地方公共団体(都道府県,市町村)が借金をすれば,地方債といいます.

さて,ご存じの方も多いかもしれませんが,現在の日本はこの政府債務がものすごくたくさんあります.
財務省のホームページに行けば,データも見ることができます.

↓こんな感じです.

004

[http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/004.htm 財務省ホームページより]

※図の中の,「4条公債残高」と「特例公債残高」(*1)を足したものが国債残高になります.

これによれば,平成22年度末において,

  • 国債残高の総額は約637兆円.これはGDPの1.34倍に相当.
  • 地方も合わせた長期債務残高の総額は約862兆円.これはGDPの1.81倍に相当.

という統計結果になっているようです.

以上の統計結果を見てみると,

  • 日本の政府債務の残高は昭和40年代以降一貫して増加の傾向にあった.
  • その結果,現在の国債残高の総額は,GDPの1.3倍以上の大きさになっている.

ということがわかります.

以上のような状況を多くの人たちが見た結果,

  • 今の日本政府はたくさん借金をしているのだなぁ,
  • この借金は貸している人たちにちゃんと返ってくるんだろうか,
  • 「財政が破綻」(*2)したりしないのだろうか,

という疑問をたくさんの人たちが抱いているのが現状です.

そこで,「今の財政スタンス(たとえば今の政府の歳入・歳出の大きさ等)を保ったまま財政運営を続けたら,政府の債務は貸し倒れすることなく返済原資を調達できるか?」という疑問が出てきます.
これが成り立つか否かを,「政府債務の維持可能性」と呼ぶわけです(*3).

つまりもう少し直感的にいえば,「今のまま財政運営してたら政府の借金の返済が滞ってしまうのではないか?」を調べるのが,「政府債務の維持可能性」の分析です

政府債務の維持可能性は実際のデータを用いて計算してみないと結論を出せません.
政府の債務が滞りなく返済可能かは,実際の(政府の)収入と支出によるわけですから.
つまり,

  • 調べてみたら,政府債務は維持可能⇒とりあえずよかったね.
  • 調べてみたら,政府債務は維持不可能⇒このままじゃ返済できないね(⇒じゃあどんな政策を採ったら返済できるかな)

ということをしらべたいわけです.

以上のとおり,「政府債務の維持可能性」は調べなきゃいけないとすれば,
じゃあ実際にどうやって調べるの?ということになります.

実際の調べ方については,次回以降まとめてみたいと思います.

(*1)本来国債の発行(借金をすること)は,財政法と呼ばれる法律の縛りを受けます.財政法第4条では,公共事業等の費用以外は,公債発行で賄ってはいけないことが明記されています.財政法第4条を守って,公共事業などの費用の財源調達のために発行される国債を「4条公債」と呼びます.一方で,やむを得ない場合には,その他費用も国債を発行することができるようになっており,このように発行された国債を「特例赤字国債」と呼んでいます.

(*2)財政が破綻する,という言葉は意味に注意して使わないといけないと思います.が,ここではあまり気にせず使ってしまいます.

(*3)「財政の維持可能性」など,似たような使い方をする言葉もありますが,意味はあまり変わらないと思います.環境経済などの分野でも「維持可能性」という言葉を使うことがありますが,この場合は意味は(おそらく)別です.

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せっかくだからね

せっかくメモをまとめる代わりに使おうと思ったので,
改めて使ってみようと思った次第.

さて何に使おうかな…ということで,自分の分野である政府債務の研究でもまとめてみようかな,と思っています.

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Google Chart APIを使ってみよう

<参考文献>

「Google Chart API入門」シリーズ:
http://blog.livedoor.jp/splus_r/archives/51511965.html など.

  1. グラフを挿入してみよう↓

  2. TeX数式を入力してみよう↓

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2011年に(とっくに)なりました

遅ればせながらあけましておめでとうございます.

こちらのお勉強にっきも相当長いこと放置プレイだったので,
使い方をいろいろと考えていかないといけないかもしれません.

気が向いたらお越しくださればありがたいです.
基本的には自分の為に使いますがw

今後ともどうぞよろしくお願いします.

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finance and growth イントロだけ

handbook of economic growth, ch.12より.

<1.Introduction>

  • 金融市場の発展は成長の決定要因の一つか?

    もしそうであるなら,金融市場を発展させるような政策,制度改革が重要かも.

    ※「金融市場の発展」とは?→section 2 を参照.


  • [sec.2] 金融市場の発展→成長に影響を与える理論研究をみる.

    金融市場,機関,制度は,情報コスト・取引コストの低減を通じて成長に貢献するかもしれない.
    コスト低減分が資本蓄積や研究開発に回れば,成長に貢献する.

    ※成長との関係のみならず,所得分布や貧困の話と絡む研究もあり.


  • [sec.3] 金融市場の発展と成長の実証研究をみる.

    既存の実証分析では,次のような結果を得る.

    1.よりよい金融機関・市場を持つ国の成長率は高い.
    (ただし,金融機関or金融市場かは成長とは相関があまりない)

    2."simulaneity bias"は,1.の結果を説明できない.←?

    3.よりよい金融市場は,企業や産業のfinancial constraintを緩める.
    →これが成長に寄与する経路の一つ.

    ※ただし著者は,実証分析の手法や,金融市場の発展度合いのデータなどに関して批判を加えている.

  • [sec.4] 結論では,さらなる研究の必要性と,活発な最近の関連文献の紹介をする.

    根底にある疑問:もし金融制度が成長にとって重要であるならば,なぜある国で成長に寄与した金融制度が,異なる国では成長に寄与しないのか?」


<2. Finance Development and Economic Growth: Thoery>

金融市場は,空間・時間を通じて資源配分に影響を与える.
←市場のfrictionの緩和を通じて.

金融制度の機能を次のように(この本では)分類する.

  1. 可能な投資について事前的に情報を作り,それに基づき資本を分配する.
  2. 投資を監視し,資金供給の後,corporate governanceに努める.
  3. リスクの取引,多様化,管理を助ける.
  4. 貯蓄のプール並びに動員・活用.
  5. 財やサービスの交換を容易にする.

「金融市場の発展」とは,上記1~5の効果を強めること.

※以下,この分類に基づいて理論モデルを紹介している.
(以下未読のため,ここまで)

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    Reinhart and Rogoff(2010, NBERwp15639)

    44の先進国・途上国の200年くらいの新たなデータセットを用いて,国債と成長率,インフレ率の関係を調べる.

    <結論>
    1.国債残高/GDP比が90%未満の国は,国債残高と成長の関係は薄い.90%を超すと成長率の中央値は1%ほど下がる.(平均成長率はもっと下がる)

    ※先進国も途上国も90%を境に変わる


    2.途上国は先進国より(成長率に影響を与える)外国債の境界値が小さい.
    GDP比60%を超えると2%くらい成長率が下がる.


    3.先進国グループでは,国債残高とインフレ率の間に関係はあまりない.
    一方,途上国では国債残高が増えるにつれてインフレ率も上がる傾向.

    ※アメリカでは,GDP比国債残高が高いとインフレ率も高くなる.

    <ポイント>
    長期的な分析,途上国の分析を可能とするより新しいデータセットを作り,それを
    利用した分析となっている.

    ※新しいデータセットはReinhart and Rogoff(2008, 2009)によって提供されているもの?

    ・外国債は先進国では自国通貨建てな一方,途上国では外国通貨建て.→結果に影響するかも?

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    研究とチームワーク

    遅ればせながら,あけましておめでとうございます.
    本年もよろしくお願いいたします.
    (…もう15日だし…)

    いつも言ってますが,もう少し頑張って更新できるようにします…



    さてさて,授業の発表のついでに,最近Jonesの論文をちらちらと見ています.
    Jonesといっても,

    • scale effectのJonesでもなく
    • Jones and ManuelliでおなじみのあのJonesでもない

    別のお方です.

    様々な研究分野に関するInnovator, researcherの研究をしているようです.

    近年のR&D活動を見るに,「1つの研究にかかわる人数(=チームの大きさ)は,研究の分野を問わず,年々大きくなりつつある」というのがおおまかな主張です.
    2007年のScienceでは,理系・文系問わず,研究のチームサイズが年々上昇しているというデータを提示しています.

    ※もちろんScienceの論文も共著ですw Wuchty, Uzziらの3人で書いてます.

    やはり共同研究というのは,時代の流れなのでしょうかね.

    ちなみに2009年のRESで,チームサイズなどのデータと整合的なR&D成長モデルを作っています.
    仕組みはJones(1995, JPE)そのものですけどねー.

    今後の日本経済にとっても,知識・技術と経済成長の話は大変重要でしょうし,
    とても面白そうなお話ですよねー.

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    コミュニケーション

    今の(将来)お仕事の場(になるであろう世界)において,
    人と話をする,というのは非常に大切です.
    この点は実感もあります.

    けどうまくできていない.気がすると.

    もっと喋れるようになりたいな,と思うのです.

    で,思うだけではしょうがないんで,どうすればいいかな,と.

    気をつけたい点を列挙してみようの会です.

    • 情報を「仕入れる」時間を作る.

      こんなpaperが落ちてた,研究会・学会がある,…etc. 時間を「割く」必要があるでしょう.
      ネタがなきゃ話はできませんからねw

    • 普段から話す内容を考えておく.

      多分にここの内容に影響を受けています.

    • 意思決定を早くする.

      これは僕独自の問題な気がしますが.
      「はい」「いいえ」「分からない」→どれかの決断を早くする.言う.ことが必要だと.

      だいたいのケースにおいて,何も返答ができないのは,「何かが分かってない」ケースがほとんどだと思いますね.

      この点は多分に「レバレッジ時間術」の内容に影響を受けているものと思われます.

    • もっと恥をかく

      最近,このワードが口ばっかりになっているような気がする.反省.

    もちろん全部がいきなりできるわけじゃないでしょうから,
    出来てないRealの姿を見ても怒らないでくださいw

    今日から少しずつ気をつけていく所存です.

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    研究生活についてネットサーフィン

    • もう10月もおしまいですね…はぁ,はやいぜ.
    • 見てた:「プロ研究者への道」

      勉強会の内容のまとめなどが勉強になるかも.
    • 見てた:「プロフェッショナル根性論」第10話 創造性とは

      記憶に残った点を引用.

      …Robert K. Mertonによれば,創造性とは誰もできないような斬新な考え方をする,他人とは質的に異なる「ユニークな能力」ではなく,必然的に起ころうとしている発見を誰よりも早くつかみ取る「効率の良さ」のことと考えられるこの説が正しいとするならば,創造性を高めるとは,何かユニークな能力を高めることではなく,時代の流れとしての社会の叡智の成熟の程度を観察し(つまりよく勉強し),そこから効率よくアイデアを読み取り,プロジェクトとして実行するという,情報処理能力のことである.

      よく言われる(イメージされる)創造性に対するイメージよりも,しっくり来る気がするのです.

      こと自分の世界で言うなら,
      • 研究の世界における成熟の程度を観察しつつ
      • 現実の経済に於ける現象も観察し,
      • 両者の間の「ずれ」から出てくる必然的に起こるであろう発見を早く見つける
    • という感じになるんですかね.

    • つまりもっと肉を食べて頑張りなさい,ということになりますw

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